2017年5月9日火曜日

[RO]ラグナロクオンラインの思い出

古い事について書く時は"ですます調"をやめようと思う。
そうすると何だかノスタルジックな感じになって雰囲気が出るからだ。
そういえばFE外伝について書いた時はそうじゃなかったので、
やっぱり"古いMMOについて書く時は"と定義を改める事にする。

■俺にとってのROの導入


ROは人生の中で最も長い時間を費やしたMMORPGだった。
β2末期からRO:RR実装に至るまで、
10年以上ほぼ休止無しで遊んでいた。
長く続いた理由はただ幸運と仲間に恵まれただけ、これに尽きる。

最初に俺がメインキャラとして作ったビルドは
ただ単発大ダメージの浪漫砲を撃つだけのネタキャラだった。
いわゆるSTR槍騎士というビルドだった。
当時は騎士ならAGI両手騎士が王道であり、
そもそも防御ステに振らないキャラは狩りの持久力的にありえなかった。
しかしアップデートに寄る仕様変更の結果、
このビルドはかなりの潜在能力を秘めている事が公となった。
ガチ勢はこれをPvP仕様に組み上げ、皆もそれに追従した。
俺はPvPには余り興味がなく(というかネタビルドだとそもそも
資産にも余裕がなかったので)PvE仕様に組み上げた。
耐久力を犠牲にして浪漫砲を延々常に撃ち続ける、というビルドだ。
要するに対人と散財前提の最強を意識したSTR-VIT型という王道に対して
防御を捨てて火力と燃費に特化したSTR>INT型にした。
頭がおかしい気もするが、それが可能なくらい新仕様による変更は大きかったし、
このビルドはぶっ壊れの可能性があった。
この読みは上手くハマり、俺のキャラはドン引きするくらいバ火力だった。

早い段階で俺のビルドの可能性を見出してくれたガチ勢の友人は
色々な狩場に俺を連れ出してくれたし、
その殆どで俺は明らかに他の奴等よりハイペースで狩れてると感じた。
自信がついてきて臨時PT広場にも顔を出すようになり、
そこで組んでくれた人は皆この火力に驚いてくれた。
そもそもアホみたいに稼げるのでそれが最高の説得力を発揮した。

PTをよく組むようになった俺は敵のAIや各種システム、
更には他職のスキル仕様にも興味が湧いた。
そして結果的に、あらゆる要素が俺のビルドに有利になるように働いていると理解した。
この職は装備依存度が特に強いのが難点ではあったが、
装備依存度の低い職だって結局は装備を揃えなければ高効率は望めない。
金を稼いで装備を集めるというゴールラインはどんなビルドでも同じだ。
だから俺は単に有効な装備を集めることに夢中になった。
ガチ勢の友人から金を借り、その金で装備を買って狩りの高効率化を実現して、
その稼ぎで借金を返済した。

俺は本来借金をするのが大嫌いだったが、
俺のキャラは装備による強化幅と、
それによる稼ぎ(=返済能力)がどうみても飛び抜けていた。
だから貪欲に強さを求めて借金を頼んだし、
友人達も気持ちの良い強さと迅速な返済を信用して
金を貸してくれていたんだと思う。
その友人達は俺がかつて憧れつつも、すっかり下火となってしまった
AGI両手騎士やアサシンのプレイヤーが多かったが、
彼等はそこらへんのしがらみを持ち出したりはしなかった。
既に十分稼いで下地を積み上げていた彼等は寛容だったし、やはり強かった。
何にせよ、俺は仲間にとても恵まれていたということだ。

当時、EXPを稼ぐには一歩どころか二歩劣るが、
金を稼ぐには最高と言われるダンジョンがあった。
グラストヘイム騎士団2Fの事。
そしてこのダンジョンで最も強いとされるのが正に俺のビルドだった。
俺はガチ勢の友人と2人PTを組んで散々にこの狩場を蹂躙し、相当な稼ぎを得た。
この友人は自らのフレの中でも特にガチと思われるヒーラーに相談して、
わざわざ俺と組む為の最高のビルドを模索し、作り上げてくれた。
友人はリアル事情で早くして引退する事となったが、
この友人の存在なくして俺の成功はなかった事は間違いない。

その後俺は臨時PT広場でヒーラーを募集して狩りに出る日々を送った。
引退した友人(の熟練ヒーラー)と散々連携を模索していた俺なので、
臨時の相方からは概ね好評だったと思う。
元々チャット好きでもあったので狩りの後に連携について話したりして、
結果的にリピーターも多くついた。

■最高の体験


ある時、鯖内でもトップクラスに有名な廃人プレイヤーがヒーラーの育成を始めた。
彼は相方と思わしきキャラを連れ、俺のメイン狩場にも出没していた。
正直に言うが、その人のキャラもその相方のキャラも、
ビルドがこの狩場に最適化されていないと思った。
(というか普通はEXP最大効率の狩場やPvPの為に最適化するので、
 そういう型こそが王道ビルドだった)
だから俺の方が絶対に大きな稼ぎを上げていると思った。

有名廃人は多くのフレがおり、組む相手には事欠かなかった事と思うが、
ある時期何故か臨時PT募集広場に出没した。
その時は深夜だったのでめぼしいフレが寝てしまったり、
単純に野良の様子に興味が湧いたのかもしれない。
しかし何せこの人は超有名人だったので、
大混雑していた臨時PT募集広場は彼の周りにドーナツ化現象が発生していた。
最終的に勇気を出した誰かが彼の募集チャットに踏み込み、狩りに出発していったのだが
俺はその勇気ある誰かを見て
失礼ながら「俺のほうが絶対に結果を出せる」と思った。
同時に「有名廃人はお高く止まるつもりは無いらしい」と安心もした。

また別の日に有名廃人が臨時PT募集広場に出没し、
狩りの臨時相方を募集するチャットを立てた。
この時もドーナツ化現象が発生し、お互い睨み合いが続いていた。
俺は意を決して彼のチャットに入室し、得意の狩場に誘った。
彼は臨時PT募集広場において極めて一般的と思える対応でOKしてくれた。
なるほど有名廃人と言えど野良PTでは普通の振る舞いか(そりゃ当然である)。

とはいえ狩場への移動中、俺はプレッシャーでマウスを持つ手が震えっぱなしだった。
有名廃人に、無名プレイヤーの(狩り特化型の)マイナービルドが挑むのである。
UOで初めて他人を攻撃する時も手が震えた事を覚えているが、
まさか協力プレイですらこうなるとは。
それくらい、彼は雲の上の存在だったのだ。

狩りを始めてすぐに、彼は俺のビルドの違和感に気付いたようで、
「そんなにスキル連発してガス欠大丈夫なんですか?」と聞かれた。
ガス欠無縁なくらい偏ったステ振りをした事を伝えると、
彼は「いいですね」と簡潔に評価してくれた。
前述した通り、彼のビルドはこの狩場に最適化されたものではなかった。
だけどシステムの理解や装備の強化具合に余念がなく、
俺のビルドにもすぐ適応して連携を整えてくれ、狩りは非常に快適で楽しかった。
その上ドロップ運にも恵まれ、恵まれすぎて速攻で重量オーバーになり、
ドロップ品を拾えなくなった。

普段ならここで狩りは終了、順調すぎワロタとなるところだが、
廃人の彼は「重量効率悪い品を廃棄して続行しましょう」と提案してきた。
俺もかつて引退した彼と組んで居た頃はそうしていたが、
臨時PTではそういう感覚は理解されにくいし長時間拘束するのは気が引ける。
それをまさか廃人の彼の方から提案してくれるのなら、
マイナーながらも自慢だった俺のビルドを認めてもらえたらしい、と思えた。

結局長いこと狩場に篭り、物凄い額を稼いだ。
そして狩りの時間よりも更に長い時間をかけて、色々な話をした。
この日こそが俺のRO人生で最も高い栄誉を得た一日だったと思う。
かつて引退していった彼もこのガチ廃の事は当然知っていたので思わずメールをした。
彼無くしてこの日は得られなかったからだ。
彼も流石に驚いていたが、想定外ではないという様子だった。

ここまでこれたきっかけは、アップデートによって
たまたま趣味ビルドが激強ビルドに変貌した事だった。
そのまま周囲の協力が得られたり上手く舵取りが出来たことは
MMORPGプレイヤーとして最高の体験だったと言える。

その後ガチ廃の彼とはPTを組んでいない。
理由は簡単で、彼のキャラがLvカンストして狩りに出なくなった為だ。
その後の俺は相変わらず臨時PT広場で甘い汁を吸っていた。
廃人勢と組む事もあったし、不慣れな人に助言をしながらやる事もあった。
そのどれもが楽しく、MMOかくあるべしとも言える最高の日々だったと思う。

なおガチ廃の彼とは数年後に偶然の縁があって再会した。
彼は俺の事を覚えていてくれて、とても恐縮した。
廃人として知られたわけでも、強豪ギルドに在籍したわけでもなく、
ただ臨時PTで一回組んだプレイヤーを、
誰もが知る有名プレイヤーが覚えていてくれたのだから
これは浮かれるなという方が無理だ。

■引退のきっかけ


ROは俺が引退するまでに2回の大きな仕様変更を行った。
プレイスタイルを変える必要はあったけど、
それはそれで楽しめる余地もあった。
ただ、大人数PTが前提になるバランスだったので
PT募集にやたら時間がかかるようになった。

その後、非戦闘系の期間限定イベントを運営が乱発し始めた。
その結果臨時PT募集広場の人口は激減し、
まるで「PTを組むな」と言われているように感じられた。
俺はそんな安易なイベントを作る運営に反感を覚えたし、
それにホイホイ釣られて戦闘をしなくなるユーザー達に失望した。
丁度その頃に新生FF14がリリースされ、移住を決意して今に至る。

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